
大人になってから水泳を始めたいと思う人も少なくはないと思うのですが、恐らく泳げるようになるのか?という心配をされている方もいらっしゃるでしょう。
単純に泳げるようになるだけなら、ほぼ誰でも泳げるようになる筈です。
しかし、速く泳げるようになるのか?というと、少々難しい部分も多いです。
「速い」という言葉だけでは、個人個人で思い浮かべる速さは違うでしょうが、例えば50mをクロールで50秒程度で泳げるようになるのはそんなに難しくはないと思います。
実際、そのくらい泳げるようになる方は少なくありません。
それでも、そこから先に進むとなると少々壁があると言わざるを得ません。もちろん1回だけ45秒で泳ぐことは可能かもしれませんが、コンスタントに45秒で泳ぐとなると、かなりの方が苦戦するようです。
私が思うに、この45~50秒あたりに、一つの大きな壁があるのです。私は40代の最後には超えられたので、越える術はあると考えます。
そして更に、35~40秒あたりにも、大きな壁があるように感じます。ここはなかなか大変で2022年現在跳ね返されています。50mをコンスタントに35秒以下で泳げる人は、たいてい子供の頃に水泳をしていたという人ばかりです。そうでない人は聞いたことがありません。私が知らないだけで実際にはいらっしゃるでしょうが、かなりレアケースだと思われます。
では、ここを超えるためには一体何が必要なのでしょうか?
大人になってから水泳を始めた人の、子供の頃からやっている人との決定的な違いは、大きく2つあると思っています。
- 身体が柔らかい
- 泳ぎ込んでいる
身体が柔らかいというところは、水泳は特に大きなポイントです。水泳のコーチなどが、陸上でちょっと腕を掻く動作をした時、とても滑らかに、そして大きく動きます。
見てるだけだと、そんなものかな?と思う程度かもしれませんが、鏡の前で自分の動きを見ていると、改めて全然違うことに気づかされてしまいます。
当然ですが、彼らと同じように泳ぐ為には、そのくらいの滑らかさ、柔軟さは欠かせないでしょう。その上で力強さがありますから、なかなか対等に戦うのは難しいと感じてしまいます。
水泳選手の柔軟性
ではどうして彼らにはそのような柔軟性があるのか?を考えますと、これも大きく2つ考えられます。
- 身体が硬くない子供の頃から泳いでいる
- 泳ぎ込んでいる
身体が硬くない子供の頃から泳いでいるというのは、文字通りで、比較的柔軟な身体で大きな動きをすれば、やはり大きな動きになりやすいです。
身体が硬い大人が大きな動きをしたところで、それはしれたもので、こういうのは、身体が柔らかくなればなるほど、その差が大きくなるもので、大人の場合、かなり意識的に柔軟性を追求しないといけません。
子供の頃から泳いでいる人でも身体の硬い人は結構いらっしゃるのですが、根本的に違うなと思うのは大人になって水泳を始めた人は全身が満遍なく硬いのに対して、子供の頃水泳をしている人というのは水泳に必要な柔軟性を持っていることが多いんです。
例えば、肩とか、足首とかなどなど・・・泳ぐという点だけでみればそれなりに柔軟性をもっているのですが、大人になってから始めた人はそういう水泳で必要な柔軟性がことごとくないのです。
ただ一つ言えることは、柔らかくしようという意思の元で泳ぎ込めば、ある程度の柔軟性は出てきますし、そこそこの柔軟性が出てくれば、あとはストレッチなどで柔軟性を加速させていくことは可能です。私の感想ですが、ストレッチってガチガチの場合、全然効かないんですよね。
泳ぎ込んでいるというのが2回出てきました。(^_^;
子供の頃から水泳をしている人というのは、恐らく一時期には毎日10kmほど泳ぐという生活をしている筈です。
これって、ものすごいです。
週に6回で仮に50km泳いでいたとしましょう。そうすると、年間2500km。これを3年続けると7500km、4年なら1万kmです。
大人になって始めた人の場合どうでしょう?
スイミングスクールに週2回通ったとして、2,000m/回だと、4,000m/週、200km/年に過ぎません。これで1万km泳ごうとすると、50年です。全く追いつけそうもありません。
私の場合、最近は20km/週ほど泳いでいますから、1,000km/年です。これでも10年かかってしまいます。
なかなかこの差は埋めづらいというのが正直な感想です。
水泳選手の泳ぐ距離
では、そもそも泳ぎ込む必要があるのか?
長い距離を泳げば速くなる・・・というわけではないでしょう。しかし、長い距離を泳ぐことは少なからず必要なのも間違いありません。
ちょっと無理してみることで、壁を乗り越えられることはよくあることです。
そのための一つに距離というのはやはり必要な時期があるはずなのです。
ですから、大人から水泳を始めた人でも1年でも、半年でもいいので、泳ぎ込んでみる時期が欲しいと私は考えています。
速くなればなるほど、距離を稼ぐのは簡単になります。
私の場合で言えば、いつも一人で泳いでいたのですが、一人だと1時間くらいで飽きてしまいます。そのため、1時間だけ泳ぐようにしていました。最初は1,000m程度でしたが、2年が過ぎたあたりでは3,000mを超えていました。
3000mを1時間で泳げるようになったら3500mにします。
そうすると、最初は60分では終わらずに70分くらいかかります。でも、そのうち70分が、65分、60分となって、コンスタントに60分前後で終わるようになってくるのです。もちろん、そういうつもりで泳いでいます。
この積み重ねで現在の距離まできています。
やっていて思うのは、距離が多い方が、上手になる可能性が高いのではないかということです。
もちろん、いっぱい練習すればいいというのは違います。下手なフォームで泳ぎ込めば、下手なフォームが染みつきますから、、ただの自己満足の可能性は否定できません。
しかし、例えばキャッチの感覚をつかむ意識を持って泳ぐとして、その感覚が得られるまでは泳ぐしかありません。そのためにはどうしても必要な距離というのがあるのです。
東京から大阪に行くのに、新幹線で2時間半、飛行機で1時間。これは絶対的に必要な時間です。これ以上短縮することは、現時点ではできないのです。
今は自転車しかなくて3日かかるとしても、飛行機に乗ることができれば1時間で大阪にたどり着けます。でも、これ以上短縮することはできないのです。
全てにおいて、この限界点というのは存在します。もちろん、人それぞれ異なるでしょうが、いずれにしても、絶対的に泳ぎ込まないとできないことはできない筈なのです。
それに、泳ぐ距離が増えて思うのは、確実に柔軟性は高まっているという点です。子供よりは全然遅々としたペースでしょうが、それでも確実に身体の柔軟性は高まっています。
もちろん、泳ぐ以外にもいろいろあの手この手を使って柔軟性を高めようとしているからかもしれません。
それでも、やはりある程度の泳ぎ込みは必要だと考えます。
水泳選手に近づくために!
では、大人になってから水泳を始めた人が、水泳選手に追いつけ追い越せになるためにはどうすればいいのでしょうか。
柔軟性を高めて、泳ぎ込む。
身も蓋もないですねぇ。さらに柔軟性を高めるってとても難しいです。
でも、やるしかありません。
正しいストリームラインをとるためには、どうしても柔軟性が必要です。
とにかく全身の柔軟性を高めていかなくてはなりません。
その目指すタイムが速ければ速いほどその傾向は強くなります。
実際、1500mを25分程度なら、少々硬い身体でも力尽くでなんとか泳げてしまいます。ものすごくしんどいですが・・・
でも、力尽くでなくてもその位のタイムなら泳げますので、フォームを検討し直してみるのも悪くないと思います。
私もフォームを変えてからはとても楽に泳げるようになりました。ただし、速度はなかなか上がりませんが。
腕が1cm前に伸びるだけで全然泳ぎは変ります。腰の角度が数mm変るだけでも変ります。
腰の角度を変えるためには背中や腰、股関節などの柔軟性がないと正しく動きません。無理矢理なら角度を変えることはできますが、でも、それは形だけの話で、身体全体の力を使って泳ぐという大前提から大きくそれてしまいますので、速く泳ぐということには繋がらないでしょう。
話が、それてしまいましたが、大人が水泳選手のように速く泳げるようになるためには、何より柔軟性が必要だという点だけは、強調したいと思います。
大人になってから始めるガチな水泳
大人になってから水泳を始めたからといっても、別にタイムを考えなければ、1~2年頑張ればそれなりには泳げるようになるはずです。
美しく・・・速く・・・となると、なかなか大変ですが。
マスターズに出て・・・という話になるとスピードも求めたくなります。
マスターズでなくても、みんなと一緒にトレーニングするような練習をしているとスピードも求めたくなるものでしょう。
周りの人がどんどん速くなっていったら、やはり自分も速くなりたいと思うのは当然です。
そうなると、選択肢は大きく2つです。
- 身体に合わせた泳ぎを見つける
- 速く泳げる身体に変える
1つ目のは、身体が硬いのなら、硬い身体に合わせたフォームを選ぶという至って簡単な話です。
例えば、ストリームラインをとろうとしたときに、肩が硬くて上がらないのであれば、少し下がっていてもいいじゃない?!ということです。
ただし、綺麗なストリームラインができないということは、スピード的には限界が早く来ます。
腕が下がっていると言うことはその腕が抵抗になります。腰が反ったフォームではプルの力も弱いですし抵抗も多いです。
もっと速く泳ぎたいとなると、2つ目の選択肢が登場します。
2つ目の選択肢は、ある意味究極の選択です。柔軟性が必要だ!というのはこちらを選んだ場合です。
泳ぐだけなら柔軟性は最低限あればいいのですが、速く泳ぐとなると柔軟性は必須です。
柔軟性と言っても、肩だけの話ではありません。
先ほどのストリームラインで言えば、腰が反るのは、背中が硬い可能性も高いです。背中が硬いのは股関節や脚が硬い可能性も高いです。足首や腹筋も関係している筈です。
もちろん肩の硬さは、首や背中、脚の硬さに加えて、肘や手首の硬さも影響しています。
要するに全身の柔軟性の問題なのです。
これらを全て改善していかなくてはならないのです。もちろん、いきなり全てが柔らかくなることなんてありませんから、少しずつ柔軟性を取り戻していかなくてはなりません。
しかし、これらの問題が少しでも改善されるとどんどんフォームも改善されていくので、ガチな人なら楽しいかもしれませんよ。
緩めたら、今度は動かす練習も必要です。硬くなってた筋肉は、使いすぎか使わなさすぎが原因です。
使わなさすぎの場合、その部位を動かすことが難しい筈です。
筋トレをやっていれば大胸筋をピクピク動かすことができると思いますが、一般人はなかなか難しいのではないでしょうか。
しかし、毎日動かそうとしていると、次第に動くようになってくるのです。それを全身で行う必要があるのです。全身というと大袈裟ですが、泳ぎに必要な筋肉を動かせるようにならなくてはなりません。
このように、身体を変えるというのはなかなか大変なのですが、子供の頃から泳いでいる人たちに追いつくためには絶対的に必要なのです。
ちなみに、子供の頃から泳いでいる速い人たちの中にも身体の硬い人はたくさんいるのですが、そういう人でも水泳に必要な部位の柔軟性は持っていることが多いので、身体が硬くて大丈夫なんてことはありませんw
身体の使い方が違うんだよなぁぁぁぁ...
身体が硬いとか柔らかいという問題ではない
ここまでは、身体の硬さをなんとかしなければならないと書いてきましたが、もう少し具体的に考えてみます。
誤解を恐れずに書けば、水泳におけるもっとも重要なことは姿勢で、他のプルの手の動かし方なんてのは、どうでもいいです。
どうでもいいというと、やはり誤解が生じそうですが、しかし、肘を立てて掻こうが、水を撫でるように掻こうが、大して泳速に影響はありません。
速い人の泳ぎをいろいろ見てもらうとわかりますが、ほんとに人それぞれです。
私自身、肘を立てて掻いても、水を撫でるように掻いても、50m程度なら大差はありません。200mとか長距離になると、肘を立てたほうが速いとは思いますが・・・これは肘を立てた方が効率がいいからだと思われます。水を撫でるように掻くと無駄な方向にも力が加わるのでどうしても燃費が悪くなるということでしょう。
話がそれましたが、要するにプルなんて適当に手をぶん回していればいいのです。もちろん水をつかめるつかめないの問題はありますが、それさえ回転数でごまかせないことではありません。
しかし、それ以上に大事なのが、如何に水の抵抗を減らすかということに尽きます。
すなわち姿勢の問題です。
まずは、腰を上げること。次に脚を上げることです。腰を上げることは比較的出来ている人が多いです。十分に上がっている人となると少ないですが、最低限の高さにまで上がっている人は少なくありません。女性は特に高い人が多いです。
ところが、腰が上がって安心するのか、股関節が曲がって太腿が下がっている人が少なくありません。
股関節が曲がっているので、キックはヒザ下だけのキックになっています。
こういう人はプルブイをつけて泳ぐと、50mで数秒速くなったりします。数秒速くなるということは、最初に書いた50秒の壁を突破できるようになるのです。
たったこれだけの話です。
余談ですが、このような姿勢を一切無視して、力技で突破できる人が一部存在しますww
体力のある男性に限られますが、そういう人は、少々脚が下がっていてもキックをバタバタしながら、泳いでしまいます。しかも体力があるので、ちょっとやそっとではバテませんので、50秒の壁なんて一気に乗り越えてしまえるのです。
とはいえ、ここから先は、水の抵抗との戦いになるので、ここを乗り越えたからと言って30秒で泳げる様になることはあり得ません。
結局は姿勢を整えなくてはならなくなります。
そして、姿勢には2つの側面があります。
一つは、水の抵抗を減らすということ。
もう一つは、推進力を得るために体幹を固めるということです。
この2つを実現するためには、残念ながら、最低限の柔軟性は必要になってきます。
よく腹圧云々の話は聞かれると思いますが、腹圧をかけるためにお腹に力を入れても全然ダメです。お腹に力を入れるのではなくお腹に力が入る姿勢にならなくてはならないのです。お腹に力が入っているのは、原因ではなく結果にすぎないのです。
柔軟性というと、例えばバタフライを速く泳ぎたいということなら、胸椎の柔軟性は必須です。もちろん他の泳法でも大事ですがバタフライでは特に重要です。
泳いでいない大人のほとんどは胸椎の柔軟性なんてありませんから、これを腰の動きで誤魔化したりすることになるのですが、そうすると、腰痛の原因になりかねません。そもそも腰を動かしてもバタフライが速く泳げるわけではなりません。
このように、結局は柔軟性が必要にはなるのですが、別にグニャグニャになる必要は全くありません。最低限の柔軟性が必要だということです。
先程の胸椎の柔軟性についても、1ヶ月ほど頑張れば、最低限の柔軟性は確保できます。それは私自身が経験済みなので、間違いありませんww
もちろん、もう一段階上の柔軟性となるとなかなか手ごわいのが現実ではありますが・・・
ということで、長くなりましたので、このあたりで、今回は終了とさせていただきます。m(__)m